福島県いわき市出身の詩人、
草野心平の『ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉』に
登場する主人公の蛙「ゲリゲ」
ゲリゲは死ぬ間際に仲間に伝えます。
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ドシドシガンガン歌ってくれ。
しみったれいはなかったおれじゃないか。
ゲリゲじゃないか。満月じゃないか。
十五夜はおれたちのお祭じゃあないか。
『ヤマカガシの腹の中から仲間に告げるゲリゲの言葉』より引用
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独自の世界観から鮮烈なメッセージを放ち、
生きものの逞しさを感じるこの作品に登場する
「ゲリゲ」の名を掲げた、街中サーキットイベント。
普段地元の人間で賑わういわき駅前の店舗と、
魅力的なゲストアーティスト、
そして、いわきを拠点に活躍するアーティストが一体となり 、
いわき独自の日常にスポットをあて、
音楽・アート・食・人が交わるそんなお祭りを目指し
「いわきゲリゲ祭り」を開催いたします。
痛いのは当り前じゃないか。
声をたてるのも当りまへだらうじやないか。
ギリギリ喰はれているんだから。
おれはちっとも泣かないんだが。
遠くでするコーラスに合はして歌ひたいんだが。
泣き出すことも当り前じゃないか。
みんな生理のお話じゃないか。
どてっぱらから両脚はグチヤグチャ喰ひちぎられてしまって。
いま逆歯が胸んところに突きささったが。
どうせもうすぐ死ぬだらうが。
みんなの言ふのを笑ひながして。
こいつの尻っぽに喰らひついたおれが。
解りすぎる程当然こいつに喰らひつかれて。
解りすぎる程はっきり死んでゆくのに。
後悔なんてものは微塵もなからうじゃないか。
泣き声なんてものは。
仲間よ安心しろ。
みんな生理のお話じゃないか。
おれはこいつの食道をギリリギリリさがってゆく。
ガルルがやられたときのやうに。
こいつは木にまきついておれを圧しつぶすのだ。
そしたらおれはぐちゃぐちゃになるのだ。
フンそいつがなんだ。
死んだら死んだで生きてゆくのだ。
おれの死際に君たちの万歳コーラスがきこえるように。
ドシドシガンガン歌ってくれ。
しみったれいはなかったおれじゃないか。
ゲリゲじゃないか。
満月じゃないか。
十五夜はおれたちのお祭じゃあないか。
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